結論から述べると、現在の日本の住宅業界では、工務店に大工が常勤していないケースは珍しくありません。
ただしこれは「大工がいない」「施工能力が低い」という意味ではなく、工務店と大工の関係性や役割分担の形が変化してきた結果です。
重要なのは、「大工が常勤かどうか」ではなく、「誰が施工し、誰が管理し、どう品質を担保しているか」という点にあります。
なぜ「工務店=常勤大工がいる」というイメージがズレやすいのか
かつては、地域の工務店が自社で大工を抱え、設計から施工まで一貫して行う形が一般的でした。
しかし現在は、住宅の高性能化・専門化、職人不足、経営合理化などの影響で、分業体制が主流になっています。
現在の一般的な役割分担
- 工務店
- 受注・契約
- 設計・仕様決定
- 現場監督(工程・品質・安全管理)
- 各職種の手配
- 検査・引き渡し・アフター対応
- 大工・各職人
- 木工事(大工)
- 電気・設備・内装・屋根・左官などの専門工事
つまり工務店は、「施工する会社」というより工事全体を統括し、品質と責任を負う“元請・管理主体”としての役割が強くなっています。
常勤大工がいない工務店の代表的な施工体制
パターン①:協力大工(外注)による施工が中心
最も多い形です。
工務店は、長年付き合いのある大工や大工会社、棟梁チームに木工事を依頼します。
ここで注意したいのは、「外注大工=一人親方だけ」という理解は正確ではないという点です。
実際には
- 一人親方(個人事業主)
- 大工の法人会社
- 固定メンバーの棟梁チーム
など、複数の形態があります。
重要なのは雇用形態ではなく、
・同じ大工が継続して入っているか
・工務店との関係性が安定しているか
です。
パターン②:少数の常勤大工+協力大工の併用
工務店に1〜数名の社員大工が在籍しつつ、新築や大型案件では協力大工を増員する形です。
- 小規模工事・補修・アフター:社員大工
- 新築・同時進行案件:協力大工
比較的バランス型の体制で、リフォーム主体の工務店などで多く見られます。
パターン③:常勤大工が複数いる「自社施工型」
地域密着で、長年自社大工を育ててきた工務店や、造作・木の家を強みとする会社に見られます。
品質の一体感を出しやすい一方、人材確保・固定費の面で経営的な負担が大きく、この形を維持できる会社は年々減っています。
「常勤大工がいない=品質が低い」は誤解
ここは特に誤解されやすい点ですが、大工が常勤しているかどうかと、施工品質は必ずしも比例しません。
品質を左右する本当の要素
- 大工(棟梁・チーム)が現場ごとに固定されているか
- 工務店の現場監督がどの程度現場を管理しているか
- 施工基準(納まり・防水・断熱など)が社内で統一されているか
- 工程ごとの検査やチェック体制があるか
外注大工であっても、固定の棟梁+強い現場管理+明確な施工基準が揃っていれば、品質は非常に安定します。
逆に、社員大工がいても
- 教育が不十分
- 管理が弱い
- 検査が形骸化している
場合、品質は簡単にブレます。
施主が本当に確認すべきポイント
「常勤大工はいますか?」だけを聞いても、判断材料としては不十分です。
大工体制について
- 「大工さん(棟梁)は着工から引き渡しまで固定ですか?」
- 「いつも同じ大工チームが入りますか?」
- 「御社とはどれくらいの期間、一緒に仕事をしていますか?」
管理・検査について
- 「現場監督は週に何回くらい現場を確認しますか?」
- 「どの工程で社内検査を行いますか?」
- 「断熱・防水・下地などの施工基準は社内で決まっていますか?」
実績の確認
- 「構造や下地の施工写真を見せてもらえますか?」
- 「過去に多かった不具合と、その対策は何ですか?」
これらに具体的に・即答できる工務店は、施工体制が整理されている可能性が高いです。
常勤大工が向いているケースもある
以下のような場合は、常勤大工の存在が安心材料になることもあります。
- 造作家具や細かい木工事が多い
- 古民家再生・増改築などイレギュラーが多い
- アフター対応の頻度が高い
- 「同じ大工に最後まで責任を持ってほしい」という価値観が強い
ただしこの場合も、「常勤かどうか」より「担当大工が最後まで固定されるか」が本質です。
まとめ
- 工務店に大工が常勤していないのは、現在では一般的
- それ自体は品質の良し悪しを決める要因ではない
- 重要なのは
誰が施工し、誰が管理し、どう品質を担保しているか - 「常勤大工の有無」ではなく「施工体制の中身」を見ることが失敗を防ぐ
以上、工務店に大工は常勤していないのかについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
