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工務店の倒産リスクについて

注文住宅やリフォームを検討する際、多くの人が不安に感じるのが「工務店の倒産リスク」です。

万が一、工事途中で工務店が倒産すると、工事の中断、支払済み代金の未回収、引渡し遅延、保証の不安など、生活設計そのものに深刻な影響が出ます。

ただし重要なのは、倒産リスクは「運」ではなく、構造的な理由と事前対策で大きくコントロールできるという点です。

本記事では、工務店倒産の実態を冷静に整理し、施主側が取るべき現実的な対策を解説します。

目次

工務店はなぜ倒産しやすいのか(構造的な理由)

工務店の倒産は、突発的に起こるように見えて、実際には資金繰りの歪みが蓄積した結果であることがほとんどです。

前受金に依存した資金繰り

工務店は、材料費や職人への支払いを先に行い、施主からの入金は着工金・中間金・完成金として段階的に受け取るのが一般的です。

このため、

  • 前の現場の支払いを次の現場の着工金で回す
  • 受注が増えるほど立替金が膨らむ
    といった状態に陥りやすく、受注減少や原価上昇が引き金となって資金が回らなくなります。

原価高騰と薄利受注

木材、住宅設備、運送費、人件費の上昇局面では、見積もりを固定したまま契約すると、利益が急激に圧迫されます。

「安さ」を優先した受注を重ねるほど、売れば売るほど苦しくなる状況が生まれます。

下請け・職人への支払い遅延

資金繰りが悪化すると、まず影響が出るのが協力会社への支払いです。

支払い遅延が起きると、

  • 職人が現場に来なくなる
  • 納材が止まる
  • 工期が遅れ、追加コストが発生する
    という悪循環に陥ります。

経営者依存の体制

中小工務店では、経営者が営業・設計・現場管理・資金管理を兼ねているケースも多く、病気やトラブルが直接経営リスクにつながることがあります。

工務店が倒産した場合、施主に起きる現実

工事の中断と引継ぎ困難

倒産すると工事は即座に止まり、別の会社に引き継ぐ必要があります。

しかし、

  • 図面や仕様の管理が不十分
  • どこまで施工済みか不明
    といった理由で、引継ぎには時間と費用がかかりがちです。

前払い金が戻らない可能性

着工金や中間金は、倒産後の法的手続きでは一般債権として扱われることが多く、全額回収できる可能性は高くありません。

生活コストの増加

  • 仮住まいの家賃延長
  • つなぎ融資の利息増加
  • 再発注にかかる時間的コスト
    など、金銭面以外の負担も大きくなります。

「保証があるから安心」は誤解になりやすい

ここは特に誤解されやすいポイントです。

住宅瑕疵担保責任保険の正しい理解

新築住宅では、法律により工務店は構造耐力上主要な部分および雨水の浸入を防止する部分について、10年間の瑕疵責任を履行するため、

  • 保険への加入
  • または供託
    のいずれかが義務付けられています。

この制度により、工務店が倒産しても、重大な瑕疵については保険法人に直接請求できる場合があります。

ただし重要なのは、

  • 対象はあくまで法律で定められた重要部分
  • 内装、設備、仕上げの不具合などは対象外となることが多い
    という点です。

完成保証との違い

  • 完成保証:建築中に倒産した場合、工事を完成させるための費用や前払い金の一部をカバーする任意制度
  • 瑕疵保険:引渡し後に重大な欠陥が見つかった場合に対応する制度

この2つは目的もタイミングも異なります。

「保証がある」と言われた場合は、どの保証なのかを必ず区別して確認する必要があります。

倒産リスクを下げる契約・支払い設計の考え方

倒産リスクをゼロにすることはできませんが、被害を最小限に抑える設計は可能です。

出来高に連動した支払い

  • 着工金を抑え、工事の進捗に応じて分割支払い
  • 上棟、外装防水完了など、確認しやすい節目で支払う
    「工事が進んでいないのにお金だけ出ていく状態」を避けることが基本です。

変更・追加工事は必ず書面で

口頭での変更は、工期・費用トラブルの温床になります。

金額、工期への影響、支払い方法を必ず書面で確認しましょう。

記録を施主側でも保管する

  • 図面・仕様書
  • 見積明細・変更履歴
  • 工程表
  • 現場写真

これらは万が一の引継ぎ時に大きな差になります。

「怪しい」と感じたときの冷静な対応

違和感を覚えた場合は、感情的に追及するよりも、

  • 請求の根拠を工程ベースで確認
  • 工程表と支払い条件の整合性を取る
  • 第三者(建築士・消費生活センター等)に早めに相談
    といった事務的・予防的対応が有効です。

まとめ|工務店倒産は「防げる事故」に近づけられる

工務店の倒産は、必ずしも「悪質な会社」だけに起こるものではありません。

しかし施主側が、

  • 契約内容を正しく理解し
  • 支払いと進捗を連動させ
  • 保証制度を正確に把握する

ことで、リスクは大きくコントロールできます。

「信頼しているから大丈夫」ではなく、信頼しているからこそ、仕組みで守る。

それが、後悔しない家づくりにつながります。

以上、工務店の倒産リスクについてでした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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