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工務店の利益率について

工務店の経営を考えるうえで欠かせない指標が「利益率」です。

ただし、工務店の利益率は業態や経営スタイルによって大きく差が出るため、単純に「何%が正解」と言い切れるものではありません。

ここでは、工務店の利益率の基本構造、一般的な相場感、利益が残りにくくなる理由、そして利益率を安定させるための考え方を実務に即した形で整理します。

目次

工務店で使われる「利益率」の基本

粗利(売上総利益)と粗利率

工務店経営で最も重要なのが「粗利(売上総利益)」です。

  • 粗利=売上(完成工事高)− 工事原価
  • 粗利率=粗利 ÷ 売上

工事原価には、材料費・外注費(職人・協力業者)・現場経費などが含まれます。

粗利は「現場でどれだけ価値を生み出せたか」を示す指標であり、ここが薄いと売上が増えても会社は楽になりません。

営業利益率

  • 営業利益=粗利 − 販売費および一般管理費(人件費、広告費、事務所費など)
  • 営業利益率=営業利益 ÷ 売上

営業利益率は、本業としての経営効率を表します。

工務店では、人件費や広告費の影響を強く受けるため、粗利率が確保できていても営業利益率が低くなるケースは珍しくありません。

経常利益率

営業利益に、借入利息や補助金などの営業外損益を加減したものです。

経営の総合結果を見る指標ですが、本業の強さを確認するなら営業利益率を見るのが基本です。

工務店の利益率の一般的な相場感

工務店の利益率は、以下のような要因で大きく変わります。

  • 新築中心か、リフォーム中心か
  • 元請か、下請中心か
  • 集客を自社で行っているか
  • 施工棟数・案件規模
  • 標準仕様の整備状況

その前提を踏まえたうえでの一般的な目安は次の通りです。

粗利率の考え方

  • 建設業全体では、粗利率は20%前後で推移するケースが多い
  • 工務店(元請・自社集客)の場合、20〜30%程度を目安に設定する会社が多い
  • リフォームは工事内容や規模により幅があり、20〜40%程度とばらつきが大きい

重要なのは、「平均値」よりも自社の標準粗利率が安定しているかどうかです。

営業利益率の考え方

営業利益率は、統計資料によって見え方が異なります。

  • 建設業全体の平均では、数%程度とされる資料が多い
  • 一方で、業務が仕組み化され、付加価値の高い工務店では、5%前後、あるいはそれ以上を目標に設定するケースもあります

そのため、営業利益率は

  • 「業界平均は低め」
  • 「目標値としては5%前後を目指す」と分けて考えるのが現実的です。

業態別に見る利益率の特徴

注文住宅(元請・自社集客)

  • 粗利率:20〜30%を目標に設定することが多い
  • 設計・提案・現場管理・アフターまで含めて価格を決められるため、利益設計の自由度が高い
  • 広告費・人件費の影響を受けやすく、営業利益率は会社の運営力で大きく差が出る

リフォーム(元請)

  • 小規模工事ほど粗利率が高く出やすい
  • 追加工事・変更工事の管理が甘いと、想定以上に利益が削られやすい
  • 工事規模・工種による利益率のばらつきが大きい点に注意が必要

下請・外注中心

  • 価格決定権が弱く、利益率が低くなりやすい
  • 売上規模は大きく見えても、手元に利益が残りにくい構造になりがち
  • 数値は会社・工種・取引条件によって大きく異なるため、一般化した断定は避ける必要がある

工務店の利益率が下がりやすい典型的な原因

値引きによる粗利の圧迫

売価の値引きは、そのまま粗利を削ります。

特に粗利率が決まっている工事では、数%の値引きが利益に与える影響は想像以上に大きくなります。

追加・変更工事の回収漏れ

  • 口頭での対応
  • 書面化されていない仕様変更
  • 「ついでに」の作業対応
    これらが積み重なると、原価だけが増え、利益が消えていきます。

見積段階の原価設定が甘い

  • 仕様が未確定
  • 仮設・搬入条件の見落とし
  • 協力業者の単価更新漏れ
    これらはすべて、後から利益を削る要因になります。

工程管理の乱れ

工期が延びると、

  • 現場管理コスト
  • 仮設費用
  • 職人待ちによるロス
    が発生し、実質的な利益率は下がります。

利益率を安定させるための実務的な考え方

標準仕様と標準原価の明確化

  • 使用する建材・設備を標準化する
  • 原価表を定期的に更新する
  • 協力業者との単価・納まりを固定化する

これにより、見積と実際の原価のズレを小さくできます。

値引きに頼らない受注体制

価格以外の判断軸(性能・品質・保証・施工体制)を明確に伝えることで、無理な値引きを避けやすくなります。

追加工事のルール化

  • 変更は必ず書面またはデジタルで合意
  • 見積→承認→施工の順を守る
  • 定期的に変更工事を締める

これだけでも利益率は安定しやすくなります。

販管費のコントロール

  • 広告費は「成約単価」で評価する
  • 人員配置は「粗利額」を基準に考える
  • 業務フローの効率化で固定費を増やさない

まとめ

工務店の利益率は、

  • 粗利をどれだけ安定して確保できるか
  • その粗利で販管費を吸収できるか

この2点で決まります。

業界平均の数値に一喜一憂するよりも、

  • 自社の標準粗利率は適正か
  • 利益が「現金」として残る仕組みになっているか
  • 利益を削る要因が構造的に放置されていないか

これらを定期的に見直すことが、長く続く工務店経営につながります。

以上、工務店の利益率についてでした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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