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工務店の粗利率について

工務店経営において粗利率は、会社が安定して存続できるかどうかを左右する極めて重要な指標です。

売上規模が大きくなりやすい住宅業界では、「売上はあるのに利益が残らない」という状態が起こりやすく、粗利率を正しく理解し、適正に管理できているかどうかが経営の明暗を分けます。

以下では、定義・相場・構造・注意点を中心に、できるだけ実務に即した形で解説します。

目次

工務店における粗利率の基本

粗利率の計算式

一般的な定義は次のとおりです。

粗利率(%)=(売上高 − 原価)÷ 売上高 × 100

建設業の会計実務では、

  • 売上高 → 完成工事高
  • 原価 → 完成工事原価(工事原価)

と呼ばれることが多く、実務上は「完成工事総利益率」という言い方をされる場合もあります。

工務店の「原価」に含まれるもの

一般的な工務店において、工事原価に含まれるのは以下のような項目です。

  • 建築資材費(木材、建材、住宅設備など)
  • 外注費(大工、基礎、電気、水道、内装、屋根など)
  • 現場関連費用(足場、仮設、養生、産廃処理、運搬費など)

一方で、

  • 営業人件費
  • 設計・事務スタッフの人件費
  • 広告宣伝費
  • 事務所家賃、車両費、保険料

といったものは、販管費(販売費および一般管理費)として扱われるのが一般的です。

※ なお、現場監督の人件費などは、会社の原価管理方針によって「工事原価」に含めるケースと「販管費」に含めるケースがあり、ここは会社ごとの管理会計ルールによって差が出ます。

工務店の粗利率の一般的な目安

各種業界資料や実務経験談を総合すると、工務店の粗利率は次のようなレンジで語られることが多いです。

  • 20〜30%前後:多くの地域工務店が属するゾーン
  • 平均値としてよく言われる水準:25%前後

この水準を大きく下回ると、経営的にはかなり厳しくなりやすい傾向があります。

実務上よく言われる目安

  • 20%未満:利益体力が弱く、価格変動やトラブルに耐えにくい
  • 25%前後:最低限、経営が回るライン
  • 30%超:広告投資や人材投資が視野に入る
  • 30%台後半以上:高付加価値型・管理精度が高いケースに限られる

※ 40%前後という数値が語られることもありますが、これは一部の高付加価値モデルや特殊な条件下でのケースであり、一般的な工務店の平均値として断定できる水準ではありません。

なぜ工務店は粗利率が低くなりやすいのか

価格競争の激化

  • 比較サイト・一括見積もりの普及
  • ハウスメーカー・ローコスト住宅との競合
  • 「坪単価」での比較が中心になる商習慣

これにより、付加価値よりも価格が前面に出やすくなります。

原価の変動リスクが大きい

  • 資材価格の高騰・変動
  • 職人不足による外注費上昇
  • 天候・工程遅延によるコスト増

原価を事前に完全に固定しづらい構造があります。

見積り・管理が甘くなりやすい

  • 契約優先での値引き
  • 追加工事のサービス化
  • 見積原価と実行原価の差異管理不足

これらが積み重なると、想定より粗利率が下がっていきます。

粗利率と最終利益は別物

ここは非常に重要なポイントです。

粗利はあくまで「工事が終わった時点で残る利益」であり、そこから以下が差し引かれます。

  • 人件費(営業・設計・事務)
  • 広告宣伝費
  • 事務所維持費
  • 借入金の利息・返済

つまり、

粗利率 − 販管費率 = 営業利益率

という構造になります。

そのため、粗利率が25%あっても、

  • 販管費が20%かかれば
  • 営業利益は5%程度

となり、条件次第では最終利益はさらに低くなることも珍しくありません。

「粗利25%は高い数字ではない」と言われるのは、この構造が理由です。

経営が安定しやすい粗利率の考え方

実務的には、

  • 最低限の粗利率:25%前後
  • 安定経営を目指す水準:30%前後
  • 成長投資を可能にする水準:30%超

という考え方がよく使われます。

粗利率が上がることで、

  • 値下げ競争に巻き込まれにくくなる
  • 人材採用・育成に投資できる
  • クレームや想定外コストへの耐性が上がる

といった好循環が生まれます。

粗利率改善の基本的な方向性

粗利率改善は、単純な「値上げ」だけではうまくいきません。

・付加価値の明確化

  • 設計思想
  • 性能(断熱・耐震)
  • アフター対応
  • 地域密着性

これらを言語化し、「価格の理由」を伝えることが重要です。

・原価管理の精度向上

  • 標準仕様の明確化
  • 実行予算と見積の差異管理
  • 協力業者・部材の固定化

ここが整うだけでも、粗利率が数%改善するケースは少なくありません。

まとめ

  • 工務店の粗利率は 20〜30%前後がよく語られるレンジ
  • 25%前後が最低ライン30%超が安定ゾーン
  • 粗利率と最終利益は別物であり、販管費構造を含めて考える必要がある
  • 粗利率は「数字」であると同時に、「どんな家づくりをする会社か」という経営姿勢を反映する指標でもある

以上、工務店の粗利率についてでした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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